2017年のモンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズは、アメリカ合衆国におけるストックカー・レースの69年目のシーズンとなった。本シーズンはデイトナ・インターナショナル・スピードウェイでノンタイトル戦の「アドバンス・オートパーツ・クラッシュ」、予選レースの「カンナム・デュエル」、及び59回目の開催となる「デイトナ500」からスタートした。 全36戦に及ぶタイトル戦はホームステッド=マイアミ・スピードウェイで開催された「フォード・エコブースト400」で終了し、ドライバーズタイトルは、ファニチャー・ロウ・レーシングのマーティン・トゥーレックス・ジュニアが獲得した。マニュファクチャラーズチャンピオンシップはトヨタが2年連続で獲得した。
参加チームとドライバー
チャーターチーム
チャーターチームとは、決勝への出場権が保証されているチームのことで、予選の結果如何に係わらず決勝へ出場できる。詳しくは、モンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ#チャーターシステムを参照。
ノンチャーターチーム
ノンチャーターチームとは、決勝への出場権が約束されていないチームのことで、予選を通過しなければレースに出場できない。詳しくは、モンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ#チャーターシステムを参照。
前年からの変更点
冠スポンサー
冠スポンサーがスプリントからモンスターエナジーに変わったことによりいくつかの変更点が生じている。
- 車両のフロントウインドウ上部にドライバーの名前を表示していたが、モンスターエナジーのロゴに変更されている。ドライバーの名前表示はリアウインドウ上部に移された。
- プレーオフに勝ち残ったドライバー(コンテンダー)の車両を識別するためのフロント・リアのスポイラーの塗色は従来は黄色であったが、モンスターエナジーのシンボルカラーであるグリーンに変更された。
レースフォーマットとポイントシステム
3ステージ制の導入
2017年のルール改正により3ステージ制が導入され、第1ステージと第2ステージは規定周回数のおよそ4分の1ずつ、第3ステージは規定周回数のおよそ2分の1に分けられた。例外はコカ・コーラ600で、100ラップずつの4ステージで行われる。 ステージ終了時には緑と白のチェッカーフラッグが振られ、上位10台までがコントロールラインを通過した時点でイエローフラッグが振られコーションとなる。コーション中のピットストップは任意であり、トラックポジションを優先させたい場合はピットストップをしなくてもよい。コーション中の周回数は次のステージの周回数にカウントされる。なお、ステージ終了前の残り周回数が2周となった時点でピットロードは閉鎖される。
ステージ終了毎にトップ10のドライバーに下記のとおりチャンピオンシップポイントが付与される。
また、レース終了時の順位により、下記のとおりチャンピオンシップポイントが付与される。
3ステージを全て勝利した場合、合計60ポイントの獲得となる。
これとは別にプレーオフポイントが付与され、レース勝者には5ポイント、各ステージ勝者には1ポイントが与えられる。3ステージを全て勝利した場合、7ポイントのプレーオフポイント獲得となる。
なお、2016年シーズンまで存在したラップリーダーボーナス及び最多ラップリーダーボーナスは廃止された。
プレーオフ
2017年からはチェイス・フォー・ザ・カップの名称は用いられなくなり、単にプレーオフと呼ばれる。
プレーオフの進出条件は
- レギュラーシーズンでの勝利
- 未勝利の場合、ポイントスタンディング16位以内
のいずれかを満たすこととなる。
レギュラーシーズン上位10位までのドライバーは、下記のプレーオフボーナスポイントを獲得し、レギュラーシーズンで獲得したプレーオフポイントに加算される。
プレーオフ進出ドライバーは全員2000ポイントにリセットされ、積み立てられたプレーオフポイントが加算される。例えばポイントスタンディング首位のドライバーがレギュラーシーズン中にプレーオフポイントを50ポイント獲得していたならば、これにプレーオフボーナスポイント15ポイントが加算され、2000+50+15の合計2065ポイントの状態でポストシーズン開始となる。
ポストシーズンの10戦は4つのラウンドに分けられ、レース勝者は次のラウンドへ進出となる。各ラウンドが終了した時点でポイント下位4人が脱落する。 プレーオフポイントはプレーオフの第3ラウンド(ラウンドオブ8)終了時まで持ち越されるが、最終戦ホームステッド=マイアミでは4人のドライバーは全て同じポイントにリセットされる。
プレーオフのもう一つ重要なルール変更はケヴィン・ハーヴィックのアイデアによるもので、このルールによって3つのラウンドで脱落したドライバー11名のいずれにもチャンピオンシップランキング5位になる可能性が生まれた。
第1ラウンド敗退者は第1ラウンドで獲得したポイントを保持し、第2ラウンド以降で獲得したポイントが加算される。第2ラウンドまたは第3ラウンド敗退者は、第1ラウンド終了時のポイントに一旦戻され、第2ラウンド以降で獲得したポイントが改めて加算される。つまり、ラウンド進出ごとのポイントリセットをキャンセルすることにより、第1ラウンド敗退者と第3ラウンド敗退者のポイント差が縮まり、レースの勝敗次第はで逆転もあり得ることとなった。
これにより、1位から4位までのドライバーのランキングは最終戦の着順により決定するが、5位から16位までのドライバーは第26戦から第36戦までの累計ポイント(ボーナスポイントを含む)によりランキングが確定する。
車両の修理に関する規則
レース中に受けた車体の損傷を修理する場合、外装部品の交換は禁止された。ガレージでの修復作業は不可で、必ずピットで行わなければならない。ピットでの作業は5分以内で行わなければならず、作業が制限時間の5分を超えると失格となり、レースに復帰することはできない。 なお、レースアクシデントに起因しない機械的、電気的な不具合についてはこの規則の適用対象外であり、ガレージに戻っての作業も可能である。
チーム、ドライバー、マニュファクチャラー
- スチュワート=ハース・レーシングはマニュファクチャラーをシボレーからフォードに変更。
- ファニチャー・ロウ・レーシングは2台体制に拡張し、エリック・ジョーンズが77号車に乗車。ジョーンズは前年、エクスフィニティ・シリーズにジョー・ギブス・レーシングから20号車で参戦していた。同時に5アワー・エナジーのスポンサーシップを獲得した。
- ラウシュ・フェンウェイ・レーシングは2台体制に縮小。16号車のチャーターをJTGドアティ・レーシングに貸し出した。
- Hスコット・モータースポーツは2016年を最後にチームを解散し、15号車及び46号車のチャーターをプレミアム・モータースポーツに返却した。
- スチュワート=ハース・レーシングの14号車、トニー・スチュワートが現役を引退。14号車にはHスコット・モータースポーツのクリント・ボウヤーが乗車。
- ジョー・ギブス・レーシングの19号車、カール・エドワーズが現役を引退。19号車には2016年のエクスフィニティ・シリーズチャンピオンのダニエル・スアレスが乗車。
- ジャーメイン・レーシングのケイシー・メアーズがチームを離脱。メアーズの乗車していた13号車にはタイ・ディロンが乗車。
- ラウシュ・フェンウェイ・レーシングの16号車に乗車していたグレッグ・ビッフルがチームを離脱。ビッフルは2017年シーズンのエントリーをしていない。
- 2016年にフロント・ロウ・モータースポーツの34号車に乗車していたクリス・ブッシャーはJTGドアティ・レーシングの37号車(ラウシュ・フェンウェイ・レーシングからのリースチャーター)に乗車。
2017年シーズンのレース
レギュラーシーズン
アドバンス・オートパーツ・クラッシュ
- 開催地:デイトナ・インターナショナル・スピードウェイ(フロリダ州デイトナビーチ)
- 開催日:2017年2月19日
詳細は後述「アドバンス・オートパーツ・クラッシュ」を参照。
カンナム・デュエル
カンナム・デュエルとは、第1戦デイトナ500のスターティンググリッドを決定するための予選レースである(ただし、フロントローの2台は3日前に開催された予選での上位2名に決定している)。予選の着順が奇数のドライバーは「デュエル1」に、偶数のドライバーは「デュエル2」に出場し、それぞれのレースの着順により2列目以降(3番グリッド~38番グリッド)のドライバーのグリッドが決定される(デュエル1出場者は決勝ではイン側、デュエル2出場者はアウト側になる)。残り2台の枠はオープンチームのうち予選タイムの速い2台が決勝へと進む。
あくまでも予選であり、タイトルレースとしては扱われないが、2017年からは10位までのドライバーにチャンピオンシップポイントが付与される。
プレーオフ(ラウンド・オブ・16)
. - ラウンド・オブ・16進出




