船岡温泉(ふなおかおんせん)は、京都市北区紫野南舟岡町にある公衆浴場(風呂屋)。船岡山南麓、鞍馬口通の南側に位置する。脱衣場(下駄箱やフロント、休憩所などを含む建物)や浴場(脱衣場の奥に繋がる浴室の建物)などが国の登録有形文化財に登録されている。
なお、「○○温泉」は上方における伝統的な風呂屋の屋号に多く見られるものであり、天然温泉を意味するものではない。
歴史・建物の特徴
元は料理旅館「舟岡楼」であり、1923年(大正12年)に建築された。1933年(昭和8年)、特殊舟岡温泉と改称され、日本初の電気風呂を設けた。戦中戦後に窮乏し、1947年(昭和22年)、一般公衆浴場(普通公衆浴場)として営業を再開した。
外観は料理旅館当時の姿を保つ。受付と浴場は近代的に改装されているものの、脱衣場(木造)は天狗と源義経の彫刻があしらわれた漆塗り格天井、第一次上海事変における肉弾三勇士などをモチーフとした欄間など、風呂屋としては破格の豪奢な姿を今に伝えている。また、脱衣場と浴場を結ぶ渡り廊下は、かつての菊水橋の一部を移築したものが使われている。
浴場自体は1932年(昭和7年)建築(鉄筋コンクリート造)のものを近代的設備に全面改築しており、薬草風呂、高温風呂、ジェットバス、電気風呂、水風呂、打たせ湯、サウナ、露天風呂などが備えられている。中庭に面した露天風呂は、日替わりで男湯と女湯が入れ替わる。一方は檜風呂、もう一方は岩風呂である。なお、創業当初は煉瓦造であった。
2003年(平成15年)7月に脱衣場と浴場、隣接する旧船岡楼、旧理髪店の計4つが国の登録有形文化財となっている。
施設情報
営業時間
- 15:00 - 23:30
- (日曜)8:00 - 23:30
- ※2015年1月より祭日の朝風呂を休止している。
- 基本的に休館日なし
料金
- 大人:490円(13歳以上)
- 中人:150円(6 - 12歳)
- 小人: 60円(5歳以下)
- ※京都府における普通公衆浴場の料金(2022年現在)。
所在地
京都市北区紫野南舟岡町82-1
交通
- 京都駅から市バス206号系統で「千本鞍馬口」下車、徒歩約5分
- 京福電鉄北野線「北野白梅町駅」から市バス204号あるいは205号系統で「建勲神社前」下車、徒歩約6分
- 京都市営地下鉄烏丸線「鞍馬口駅」より徒歩約20分
ギャラリー
その他
当風呂屋の東方、鞍馬口通沿いに現存する旧藤ノ森湯(1930年〈昭和5年〉築、木造)も国の登録有形文化財に登録されている。なお、現在は風呂屋でなく飲食店等に転用されている。
脚注
注釈
出典
参考文献
- 松本康治著『関西のレトロ銭湯』(戎光祥出版、2009年)
関連項目
登録有形文化財に登録されているその他の風呂屋(銭湯)
- 源ヶ橋温泉(大阪市生野区林寺、1998年登録/※2020年廃業)
- 燕湯(東京都台東区上野、2008年登録)
- 大社湯(鳥取県倉吉市新町、2010年登録/※2022年廃業)
- 一乃湯(三重県伊賀市上野西日南町、2013年登録)
- 今治ラヂウム温泉(愛媛県今治市共栄町、2016年登録/※現在休業中)
- 若の湯(京都府舞鶴市本、2018年登録)
- 稲荷湯(東京都北区滝野川、2019年登録)
- 小杉湯(東京都杉並区高円寺、2020年登録)
- 日の出湯(京都府舞鶴市西吉原、2021年登録)
外部リンク
- 船岡温泉(公式サイト)
- 船岡温泉 - 京都府浴場組合
- 隠れた名スポット 船岡温泉街(裸で見る芸術「京都の銭湯」)
- Funaoka Onsen(英語ページ)
- 国指定文化財等データベース - 「船岡温泉」の脱衣場、浴場、旧理髪店、旧船岡楼が登録されている。
- 船岡温泉脱衣場 - 国指定文化財等データベース(文化庁)
- 船岡温泉浴場 - 国指定文化財等データベース(文化庁)
- 船岡温泉脱衣場/浴場/旧理髪店/旧船岡楼 - 文化遺産オンライン:データベース(文化庁)




