数学のグラフ理論の分野における頂点推移グラフ(ちょうてんすいいグラフ、英: vertex-transitive graph)とは、与えられた任意の二頂点 v1 および v2 に対して

f ( v 1 ) = v 2   {\displaystyle f(v_{1})=v_{2}\ }

であるような自己同型

f : V ( G ) V ( G )   {\displaystyle f:V(G)\rightarrow V(G)\ }

が存在するグラフ G のことを言う。

言い換えれば、グラフが頂点推移的であるとは、その自己同型群が各頂点の上で可移的(transitively)に作用することを言う。グラフが頂点推移的であるための必要十分条件は、その補グラフが頂点推移的であることである(なぜならば、それらの群作用は等しいため)。

孤立頂点を含まない対称グラフは、頂点推移的である。また、頂点推移グラフは正則である。しかし、すべての頂点推移グラフが対称であるとは限らない(例えば、切頂四面体の辺から成るグラフ)。また、すべての正則グラフが頂点推移的であるとは限らない(例えば、フルフトグラフ)。

有限の例

対称グラフ(例えば、ピーターセングラフ、ヒーウッドグラフ、正多面体の頂点と辺から成るグラフなど)であれば、有限の頂点推移グラフである。有限のケイリーグラフ(例えば、キューブ連結サイクルなど)もまた、頂点推移的である。なぜならば、それは半正多面体の頂点と辺から成るため(それらのうち対称であるものは二つしかないが)である。Potočnik、Spiga および Verret は、最大 1280 個の頂点を含む全ての連結立体頂点推移グラフの調査を行った。

性質

頂点推移グラフの辺連結度は、その次数 d に等しい。一方、その頂点連結度は少なくとも 2(d 1)/3 である。そのグラフの次数が 4 以下であるか、グラフが辺推移的であるか、あるいは最小のケイリーグラフであるなら、その頂点連結度も次数 d と等しくなる。

無限の例

無限な頂点推移グラフは次を含む:

  • 無限路(両方向に無限)
  • 無限正則木。例えば、自由群のケイリーグラフ
  • 正多角形によるタイル張りを含む、平面一様充填のグラフ(平面充填の一覧を参照されたい)
  • 無限ケイリーグラフ
  • ラドグラフ

二つの可算な頂点推移グラフが準等距離同型(quasi-isometric)であるとは、それらの距離函数の比が上下ともに有界であることを言う。有名な予想に、全ての無限な頂点推移グラフはケイリーグラフと準等距離同型である、というものがあったが、その反例はディエステルとリーダーによって提唱され、近年、エスキン、フィッシャーおよびホワイトによってその確証が得られた。

関連項目

  • 辺推移グラフ
  • ロヴァース予想
  • 半対称グラフ

参考文献

外部リンク

  • A census of small connected cubic vertex-transitive graphs . Primož Potočnik, Pablo Spiga, Gabriel Verret, 2012.

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