オオズグロカモメ(大頭黒鴎、学名:Ichthyaetus ichthyaetus)は、チドリ目カモメ科に分類される鳥類の一種である。

分布

ロシア南部から中央アジアにかけて局地的に繁殖する。冬期は紅海からインド沿岸に渡り越冬する。

日本では主に九州地方に冬鳥として渡来するが、数は少なく局地的である。現在定期的に渡来が確認されているのは、熊本県の球磨川河口付近だけである。

形態

全長約69cm。セグロカモメよりも大型なカモメである。夏羽は頭部が黒く眼の上下に白色部があり、背中や翼上面は青灰色で体の下面は白色である。嘴は黄色で先端部に黒色の帯がある。冬羽では頭部は白く、眼の周囲から後頭部にかけて黒斑が散らばっている。ただし、他の種類と比べて夏羽に換羽する時期が早く、2月頃に夏羽に換羽している個体もある。雌雄同色である。

生態

繁殖期には、内陸の湖沼や河川の周囲に生息する。非繁殖期には、内湾、干潟、河口に生息する。日本では、セグロカモメの群れに混じって1、2羽でいることが多い。

食性は動物食で、魚類、小哺乳類、昆虫類を捕食する。

繁殖形態は卵生。繁殖期は5-7月で地上に営巣し、2-3卵を産む。

鳴き声はアアー。

分類

本種は以前はカモメ属(Larus)に分類されていたが、2005年の分子系統研究により、従来のカモメ属が単系統群ではないことが指摘され、新たにオオズグロカモメ属(Ichthyaetus)に分類されることになった。

類似種と識別点

冬羽はキアシセグロカモメと似ているが、体が一回り大きいことと、顔に黒斑があること、翼先端の黒色部が小さいことから区別できる。

夏羽では、体の大きさから他種区別できる(頭部が黒いカモメ類の中では、本種は特に大型である)。

脚注

参考文献

  • 桐原政志 『日本の鳥550 水辺の鳥』、文一総合出版、2000年
  • 真木広造、大西敏一 『日本の野鳥590』、平凡社、2000年

関連項目

  • 日本の野鳥一覧

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