S&W M500(英: Smith&Wesson Model.500)は、アメリカのS&W社が2003年に開発した大型リボルバー。「.454カスール弾を超える弾薬を撃つことのできるリボルバー」として開発された。
概要
2000年代頃、当時のS&W社はイギリスの多国籍エンジニアリング企業であるトムキンス公開有限会社の傘下を経て、アメリカ資本に復帰した(1965年にバンゴール・プンタ社に売却されたS&W社は、そのブランドネームだけを当てに海外資本を渡り歩くように、売却・買収を繰り返していた)ものの、かつてのグロック17のデッドコピー品であるS&W SIGMAの製品化などによってブランド力は著しく低下していた。そこで、同社がかつて発売したS&W M29が起こした、当時としては世界一ハイパワーな拳銃弾である.44マグナム弾を使用できる拳銃によるブームにあやかり、新たな世界一強力な拳銃弾を使用できるリボルバーの販売によるブランド力の回復を望み、本銃は開発された。
本銃は拳銃としての実用性は高くなかったが、同社の歴史に残るヒットを呼び、S&W社を再びトップブランドのメーカーに押し上げた。この成功をきっかけに、S&W社はアメリカを代表する最大級の銃器メーカーへの復活を遂げることとなる。
特徴
銃身長は4インチと8.375インチ、「ハンターモデル」と呼ばれるカスタム部門であるパフォーマンスセンターより発売された10.5インチのバレルを備えたものがあり、使用する50口径のマグナム弾である.500S&Wマグナム弾は.44マグナム弾の約3倍の威力を誇るといわれる。そのため、フレームには同社のリボルバーフレーム規格の中ではエクストラ・ラージサイズであるX-フレーム(ステンレス製)を使用した。
S&W製リボルバーの構造上、装弾数を6発にするとシリンダーを停止させるシリンダーストップノッチがシリンダーホールと重なって肉厚を確保できなくなるため、M500は装弾数を5発としてシリンダーの強度を確保しており、フレーム側にある固定用のラッチによってヨークを直接固定する形となる。サイトはフロントサイトが垂直に立つ角張った形状から光を反射しにくく、精密射撃に適したパートリッジタイプ(SKU 163501のモデルは赤いファイバータイプ、ハンターモデルや4インチモデルは斜体形状のランプタイプ)であり、リアサイトは上下左右の微調整が可能なアジャスタブルサイトである。
グリップは握りやすさを重視して銃全体の割にはやや小さいラップアラウンドタイプの黒いラバーグリップ、トリガーは連射に向いた細身のフラットトリガーとなっている。サムピースは後方が斜めになった形状であり、セーフティに関してはハンマーブロックによる近代的なインターナルセーフティに加え、サムピース上方には専用のキーでトリガーをロックするキーロックセーフティも備わっている。
バレルはフルラグタイプであり、それ自体がバレルシュラウドに覆われた2ピースの二重構造である。これはバレルを前後2点で固定することから、1点で固定するよりも曲げに強い状態で固定できるうえ、先端に設けられた特殊なナットがバレルにテンションをかけるため、命中精度が向上する。このタイプのバレルは連続して射撃を行うと熱膨張によってナットが緩む問題点があるが、M500では先端に3ポーテッド・タイプのコンペイセイターが差し込まれ、物理的にナットが緩むことがなくなっている。ハンターモデルおよび銃身長を7.5インチまで短くしたSKU 170229のモデルは角張った五角柱型のテーパードバレルを備えており、後方上面には光学機器を装着可能なピカティニーレールが設けられ、コンペイセイターも円柱型となっている。
4インチモデルにはサイドフォータイプのコンペンセイターこそ装備されているものの、銃身が短い代わりに軽量であることから他のモデルより体感反動も大きく、銃自体もやや小さくなっている。そのほか、M500HI-VIZ ファイバーオプティックという3.5インチのフルラグバレル、ファイバータイプフロントサイト、ノンフルーテッドシリンダーを備えたモデルが発売されている。
画像
登場作品
脚注
注釈
出典
関連項目
- S&W M29 - かつて「最強の拳銃(弾)」の名を馳せた.44口径のリボルバー。
- S&W M460 - 同フレームを採用した、.45口径のリボルバー。
- デザートイーグル - .50アクション・エクスプレス弾を使用する自動式拳銃。
- Pfeifer Zeliska - .600ニトロ・エクスプレス弾を使用するリボルバー。
- トーラス・レイジングブル
外部リンク
- スミス&ウェッソン社公式サイト




